男性と女性では、ものの見え方が異なるらしい。最新の研究によると、女性は色の違いを見分けることに優れ、男性は素早く動く物体を目で追ったり、遠くの 細かいものを見分けたりすることが得意だという。このような進化的適応は、人類が狩猟採集生活を送っていた過去と関係している可能性がある。

 ニューヨーク市立大学ブルックリン校の心理学教授、イズリエル・エイブラモフ(Israel Abramov)氏が率いた今回の研究では、正常な視力を持つ若年成人の被験者に一連のテストを行った。

 色に関するテストでは、同じ色だと答えた色調に男女で違いがみられた。研究チームはこの理由を次のように結論付けている。「可視スペクトルのほぼ全域にわたって、同じ色相を知覚するのに男性は女性よりやや長い波長を必要とする」。

 波長が長いほど「暖かい」色になるため、例えば、果物のオレンジは、男性には女性より少し赤く見えている可能性がある。同様に、緑の草は、ほぼ常に女性のほうがより緑色に見え、男性には少し黄色がかって見えている可能性がある。

 また研究では、色のスペクトルの中央にある青、緑、黄色の識別において、男性は女性に劣ることも明らかになった。

 一方で、男性のほうが優れていたのは、細部の素早い変化を遠くからとらえる能力だ。特に、点滅する光の列の、幅がより狭く、点滅の速度がより速いものを見分ける能力に優れていた。

 研究チームは、男性がこの能力に長けているのは、脳の視覚野の神経発達が男性ホルモンによって促進されるためだとしている。男性は特にテストステロンが豊富なため、脳の視覚野の神経細胞は生まれつき女性より25%多いという。

◆役割分担が進化に影響?

 今回の研究結果は、男女が先史時代の役割に合わせて異なる心理学的能力を進化させたという、いわゆる"狩猟採集仮説"を裏付けるものだと研究チームは主張している。

  研究チームは、男性の被験者が「細部や、動きの速い刺激に対して有意に高い感度」を示したことを指摘した上で、狩猟を行っていた彼らの祖先は「捕食者や獲 物かもしれないものを遠くから見つけ、また、それらを識別、分類することに長けていなければならなかった」と記している。一方、"採集者"であった女性の 視覚は、野生の木イチゴなど、手近な動かない物体の認識により適応した可能性がある。

 シティ大学ロンドンの光学・視覚科学教授であるジョン・バーバー(John Barbur)氏は、女性は「色の絶対的な感度においては男性に劣る」ことが多いと指摘する。

 しかし、同じ色のわずかな色調の違いを見分けることにおいては、アイブラモフの研究のように、女性のほうが優れている傾向にあるという。バーバー氏は今回の研究には参加していない。

「色の識別に対する絶対的感度ではなく、色を判断する能力、すなわち、それがどんな色で、その色にどんな意味があるのかといったことを説明する能力に関しては、女性のほうが明らかに男性よりはるかに優れている」とバーバー氏は述べている。

 今回の研究成果は、9月4日付で「Biology of Sex Differences」誌に発表された。


James Owen for National Geographic News
以前のように覚えられなくなった。なんとなく物忘れがひどくなった気がする。こんなことを普段、感じてませんか?

アメリカの健康ニュースサイト『MyHealthNewsDaily』から、脳のパワーを全開にしてくれる食べ物をご紹介いたします。脳力アップして、覚えにくさや物忘れを吹き飛ばしてしまいましょう。

■1:グアカモーレ
ちょっと耳慣れないですが、メキシコのアボカドをつぶして作るディップ料理の名前がこれ。アメリカでは、ホームパーティなどでよく食べるそうです。

でも、パーティでしか食べないのはもったいない! 軽食やおかずのひとつとして、グアカモーレ&チップスはいかがでしょう?

アボカドは、記憶を高める働きのあるビタミンCが豊富です。またビタミンCは、抗酸化物質としての働きもあるので、脳細胞のダメージを防ぐことが期待できます。

■2:すりおろしにんじんをサラダに
にんじんはやわらかいので、すりおろすのはとても簡単! そしてにんじんには、記憶を高めるベータカロチンが豊富です。

1997年の米国老年医学会誌に掲載された研究では、血中のビタミンCとベータカロチンの濃度が高い人は、記憶力、語彙力、想起力、認知力のテストの点が高かったという結果が出ています。

スティックにんじんにグアカモーレをつけたら、脳に最強のおやつになるかもしれませんね。

■3:魚をもっと食べよう
サケ、マグロ、オヒョウなどは、記憶と学習を高める働きのあるオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。週に一度は、夕食に魚を食べましょう!

魚にあまりなじみのないアメリカ人も、脳のために週1回の魚デーを設けるべきだとのこと。魚になじみがある私達は、もっと食べてもいいですよね。

■4:くるみ
くるみもオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。魚がどうしても苦手な場合は、くるみで補うのも一手ですね。また亜麻仁油もオメガ3脂肪酸が多いので、必須脂肪酸を摂取するのに亜麻仁油を選ぶのもいいでしょう。

どちらもカロリーが高いものですから、その点だけはご注意くださいね!

■5:ジャガイモの代わりにサツマイモを
サツマイモは、ベータカロチンが豊富です。ジャガイモの代わりに、サツマイモを使ってベータカロチンを脳に届けましょう。

例えばベイクドポテトの代わりに、ベイクドサツマイモ(つまり焼きいも)にする、フライドポテトをジャガイモではなく、サツマイモを揚げるなどです。

サツマイモの黄色は、ベータカロチンの色だったのですね。日本人には、ジャガイモはごはんのおかず、サツマイモはスイーツのような感覚があるかもしれませんが、おかずにもサツマイモを使ってみるといいかもしれませんね。

いかがでしたか?

意外に身近にある脳によい食べものでしたね。手軽なものから試して、脳のパワーを最大限にまで高めてくださいね!

引用元:ネタりか 美レンジャー
米研究で「不安が強い人はIQが高い」ことが明らかに

「心配のし過ぎはよくないこと」と誰でも思いますよね。でも、不安が知能指数と共に進化してきたのだとしたらどうでしょうか?

アメリカの健康専門ニュースサイト『My Health News Daily』から、最新の研究についてお伝えいたします。

理由の定まらない不安が長期間続き、ついには日常生活にも支障をきたすようになる、全般性不安障害(GAD)と診断された人の中で、不安の度合いの高い人ほど、IQ(知能指数)が高いという研究結果が報告されています。

加えて、不安障害の患者は、健康な人よりもIQが高い傾向があり、脳のコミュニケーションをつかさどる部分が、健康な人より活性化しているという研究があります。

この研究は、26名の不安障害の患者と18名の健康な人に、IQテストと不安の度合を評価するアンケートの双方を行ったものです。

結果は、不安障害の患者の間では不安度が高いほど、IQテスト結果が高いというものでした。また興味深いのは、健康な人の間では結果が逆で、IQテスト結果が高い人ほど不安度が低く、IQテスト結果が低いほど不安度が高いというものでした。

「自分はどっちなんだろう」と少々気になってしまいますね......。

この研究の研究リーダーで、ニューヨーク州立大学医学部精神科教授のジェレミー・コプラン氏によると、不安は人間の進化に貢献しているそうで、

「不安であることを、現代の私達は健全な状態だとは思っていませんが、不安は知性とリンクしているのです。不安は人類が高度に適応した結果、生じた特質だと言えます。

過度の不安は、生活に支障をきたしますし、また患者の不安は筋の通らないものが多いです。しかし、世の中には思いも寄らない危険が起こります。

ですから、過度の不安があるというのは、実にこの世界に適応していると言えるのです。不安を危険のサインだと考えて行動する人は、自分や子孫の命を守れるケースが多いのです」

とコメントしています。

不安が多いことは、個人としては辛く厳しいことですが、人類全体で考えると、不安のもたらす利益は大きいということになりますね。

また、コプラン教授は次のようにもコメントしています。

「心配しなさすぎるということは、個人にとっても社会にとっても問題となります。危機がすぐ近くに差し迫っていても、気がつかない人も存在しますね。

こういう人が一国のリーダーだと、リスクを気づかう必要はないという風潮を起こすことになります。リスク意識の欠損が、社会的な問題を引き起こすことがあるのです」

確かに。不安を感じやすいことを、備えをする行動につなげたら、不安は個人と社会を守る適応だと言えますね。

いかがでしたか?

やや規模の小さな研究結果ですので、今後の研究が待たれますが、不安になることが多い人は、不安を感じないように努力するより、「進化の結果だから、不安があるのはしょうがない」と思ってみるのも一手かもしれません。

その後、不安をサインにして、どんな行動をするか考えてみるのもいいかもしれないですね。

引用元:ネタりか 美レンジャー



コメント:統計的なデータの規模が少なすぎるので断定的なことは言えないと思います。不安障害の患者の間と健康な人の間では結果が逆という点に関しても分析されていません。

ただ、IQの高い人は色々なことに思考を張り巡らせている結果、不安も強くなるということは言えると思います。

突然ですが、質問です。あなたの人差し指と薬指は、どちらのほうが長いでしょうか?

薬指が長ければあなたは"男性脳"、人差し指が長いならあなたは"女性脳"です。さて、これはいったいどういうことなのか、今から説明していきます。

 

■まず、"男性脳"と"女性脳"とは

アラン・ピーズ氏の『話を聞かない男、地図の読めない女』は日本でもベストセラーになりましたね。

この本では、"狩場を把握して獲物をとらえる能力"が要求される"男性脳"と、"母性と他者とのコミュニケーションをはかるための会話力"が重視される"女性脳"について、説明されています。

「男らしい」や「女らしい」と軽はずみに言うとセクハラになりますが、人の社会学的・生物学的行動に、性別による違いがあるのは事実です。そして、これは脳が作りだすものだと考えられています。

妊娠15〜24週のあいだに、胎児が大量のテストステロンにさらされると、からだの性別は男性になります。そして、脳の性別もまた、テストステロンによって出産直後から20週前後に決まるとする意見が根強くありました。

しかし、これらはマウスの脳を使った動物実験によって研究されたことで、同じことを人で証明するのは極めて困難だったのです。

 

■"二本指の法則"でわかること

そこで、イギリスの心理学者であるジョン・マニング氏を中心に、"二本指の法則"と呼ばれる"指の長さ"を使った研究が精力的に行われています。

マニング氏によれば、胎児のときに大量のテストステロンを浴びると、薬指が長く、もしくは人差し指が短く成長します。

メカニズムは複雑ですが、まとめると"テストステロンの効き目を低くする遺伝子の量が多いほど、薬指が短く、人差し指が長くなる"という疫学調査を根拠としているようです。

つまり、多くの場合では、男性では人差し指より薬指が長く、女性では薬指より人差し指が長くなるのです。しかし、マニング氏の説はそれだけでは終わりません。

行動学にもとづいた研究をつづけた彼は、人差し指より薬指が長いならば、たとえ女性であっても、攻撃性が高い"男性脳"であるとしました。もちろん、その逆が"女性脳"です。

ちょっといかがわしい研究のようですが、海外では大人気です。イギリス公共放送BBCは、この"二本指の法則"について、2008年に15万人を対象とした大規模なインターネット調査を行っています。

その結果はかなりセンセーショナルでした。まず、人差し指より薬指が長い男性脳の男女は、そうでない人たちと比較して支配欲が強かったのです。そして、"男性脳の男性"と"女性脳の女性"は、ともに性的に興奮しやすく、子どもの数が多いこともわかりました。

また、株式トレーダーを対象にした別の研究では、男性脳の男女は"リスクを省みない行動様式"をとることが多く、損益比が大きくなりました。結果として、男性脳の男女は、そうでない人と比較して、年収が10倍も多かったようです。

この"二本指の法則"は、自閉症やアスペルガー症候群とも関連するため、いろいろな病気の性差を探る側面もあります。ここ日本でも、医学的に大真面目な研究が行われているのです。ぜひ、今後に期待したいですね。

 

ちなみに僕も自分の手をしげしげと眺めてみたところ、薬指よりも人差し指のほうがだいぶ長く、かなりの女性脳でした。

マニング氏によれば、僕は支配欲が弱く、性的に興奮しにくいため、 子供の数も少なくなります。また、リスクを選択できないため、年収が低い、ということになるようです。でも、あまり自覚はありません。


【男と女の違い】

※ 男性の方が女性よりずっと「体型を気にしている」と判明
※ 女性は男性より「強い悲しみで簡単に心が壊れてしまう」

※ 男性のほうが女性より「友情が長続きする」謎が明らかに


引用元:Menjoy

【参考】

※ 久松伸一(2011)『脳と行動の男性化』 思春期学・第29巻1号

※ John T. Manning『Second to fourth digit ratio and male ability in sport: implications for sexual selection in humans 』 Evolution and Human Behavior

(著:朽木誠一郎)

 胃の粘液に含まれ、糖の分子が鎖状になった物質「糖鎖(とうさ)」に胃がんの発症を抑制する働きがあることを、信州大学医学部(長野県松本市)の中山淳教授(病理学)らの研究グループが突き止めた。

■信州大研究グループ、米専門誌に発表

 6日付の米医学専門誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」に発表した。今後、糖鎖に着目した薬や予防法の開発が期待できるという。

 糖鎖は、糖の分子が鎖状に結びついた化合物で、細胞膜の表面のたんぱく質などと結合し、病気の発症に影響する。

 胃の粘液は「表層粘液」と、胃粘膜の下方の細胞で分泌される「腺(せん)粘液」に分類され、腺粘液に糖の分子「α型N―アセチルグルコサミン」を含む糖鎖がある。グループは2004年、糖鎖が胃がんなどを引き起こすピロリ菌の増殖を抑えていることを明らかにした。

 今回は、胃粘膜での糖鎖の役割を解明するのが目的。ピロリ菌に感染していない状態で、糖鎖を欠損させたマウスと通常のマウスを比較する実験を行った結 果、糖鎖のないマウスは5週間で胃粘膜の炎症が起き、30週で胃がんを発症した。また、早期の胃がん患者では糖鎖の量が低下するか、消失していた。このた め、糖鎖は炎症を抑え、がん発症を防いでいると結論づけた。

 中山教授は「粘液は粘膜の単なるバリアではないことが分かった。研究結果が、糖鎖の量を増やす薬の開発などにつながることを期待したい」と話している。

引用元:読売新聞(ヨミドクター)

受験の厳しさばかりが話題になるが、世の中には、超難関校を涼しい顔で突破してしまう天才児たちが存在する。そもそも天才と一般人とでは、脳の仕組みが違うのだろうか。諏訪東京理科大学教授で脳科学者の篠原菊紀氏はこういう。

「脳の大きさや皺の数は知能とは無関係であることがわかっています。ただ、なかには画像的に記憶できるといった能力、視覚情報処理ネットワークが極めて活発で、強烈な記憶力を持っている人はたしかに存在します。

遺伝との関係でいえば、学業成績に遺伝が占める割合は40%、記憶力においては23%という研究があります」

一般に、脳科学の世界では「天才は遺伝する」とされるが、そのメカニズムには未知の部分も多い。また、学業面における「天才」と「秀才」の違いについて、「朝倉算数道場」塾長の朝倉仁氏はこう説明する。

「秀 才には静かな子もいますが、天才は賑やかな子が多く、静かな子がいません。彼らは授業中はニコニコしていて、受験前でも悲壮感が全然ない。私が教えた塾生 のなかには、開成中を受験するために上京し、試験前夜ずっとトランプやゲームをしていて、一睡もせずに受験してそのまま合格した子が3人います。そのうち 1人は灘中にトップ合格しました」

また、女子では小4で朝倉氏の道場に入った時、すでに灘中に合格できるレベルに達していた子がいたという。

「その子は小学校の時に名古屋大学に招待され、研究室で携帯電話のメールを圧縮して転送する基礎を考えたんです」(朝倉氏)

※週刊ポスト2012年2月10日号


コメント:個人的な経験では、幼少期にパズルやクイズなどの本を読むと頭が良くなります。幼少期から頭を刺激することには効果があると思います。

 人体のあらゆる組織に成長する能力を持つ胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って、失明状態と認定された患者2人の治療に成功したとの成果を、米カリ フォルニア大学ロサンゼルス校ジュールズ・スタイン眼研究所の研究者らがこのほど発表した。2人とも視力が劇的に改善したという。

同研究所のスティーブン・シュワーツ博士らが、英医学誌ランセットに報告した。ES細胞を使った治療例が正式に報告されたのは初めてとされる。同博士は「暫定的な結果であり、失明の治療法が見つかったとはいえないが、再生医療における大きな前進だ」と話している。

2例ともそれぞれ、ES細胞を患者の網膜組織に注入した。術後は拒絶反応を抑える薬を短期間投与した。

患者の1人、スー・フリーマンさん(78)は昨年7月に手術を受けた。難病の黄斑変性症で視力が極度に低下し、1人では歩行も買い物、料理も不可能だった が、一方の目を治療した結果、すべてできるようになったという。「自分が書いた字を読むこともできるようになった」と、喜びを語る。
2人目の女性(51)は手術から2~3週間たった朝、目覚めた時に寝室のたんすの細かい彫刻に気付き、視力の改善を実感したという。以前は見えなかったこんろのつまみが見えるようになり、目の前に示された指の数も分かるようになった。

シュワーツ博士は、フリーマンさんらの視力が再び低下する可能性もあるとする一方、今後全米10カ所で患者12人の治療を試みるとの計画を示した。

チームが使用したES細胞は、不妊治療で不要となり、捨てられることが決まった受精卵から採取したという。

ES細胞を使った再生医療では、米バイオ企業ジェロンが2009年、民間企業として初めて食品医薬品局(FDA)から臨床試験の承認を得たものの、11年に財政難を理由に撤退している。

引用元:(CNN)

コメント:副作用が出ず、安全性が確認されたことはES細胞を使った治療への大きな一歩と言えますね。

科学技術振興機構(JST)と東京大学は1月20日、脳の神経回路が、回路を形成する神経細胞「ニューロン」(画像1)より小さく、「シナプス」の単位で 正確に編まれることで機能を発揮することを明らかにしたと発表した。東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二准教授らの研究グループによる発見で、成果は米 科学誌「Science」に米国東部時間1月20日に掲載された。

脳はニューロンと呼ばれる神経細胞からなり、各々のニューロンが、少しずつ情報を処理している。その処理結果は、ニューロン間の特殊な結合であるシナプスを介して、次のニューロンに伝えられる(画像1)。

ニューロンには多くの樹状突起と呼ばれる枝分かれした線維があり、ここにあるシナプスは、樹状突起の先端部分「スパイン」と呼ばれる突出構造を介してほか のニューロンからの情報を受け取る仕組みだ。樹状突起は複雑に分岐するだけでなく、種々の「イオンチャネル」(細胞膜や内膜など、細胞の生体膜にある膜貫 通タンパク質の一種で、受動的にイオンを透過させるタンパク質の総称)や「受容体」(生物の体にあって、外界や体内からの何らかの刺激を受け取り、情報と して利用できるように変換する仕組みを持った構造のこと)を持つため、「どのスパインが、いつ、どんな入力を受けたのか」が、ニューロンの情報処理に大き く影響する。

ニューロンは主として樹状突起からの入力を受けるが、樹状突起上のシナプス配置のパターンについては、現在、2つの仮説が提唱されている(画像2)。1つ は、同期した入力(ほぼ同時刻に来る入力)は樹状突起上のある特定の箇所に集中するという「クラスター入力モデル」(仮説1)で、もう1つは、同期した入 力が樹状突起全体に散在している「分散入力モデル」(仮説2)だ。

仮説1はニューロンの一部を強く活動させるためには有利とされているが、仮説2は情報のロスが少ないという利点がある。いずれのモデルが正しいのかについ ては、数十年来の議論の的となっているものの、これを検証するための実験技術がなかったため、これまでに明確な回答は得られていなかったというわけだ。

活動している神経細胞を観測するために現在広く利用されている手法は、「カルシウムイメージング法」と呼ばれるものだ。活動している神経細胞を検出するた め、活動時に細胞内で遊離されるカルシウムイオンの存在により蛍光を発する色素(カルシウム蛍光指示薬)を用いる仕組みである。

しかし、この蛍光は微弱なため、従来の手法では強いレーザー光を当てることによって観察中に細胞が死んでしまうのを回避することができないという欠点が あった。そこで今回、池谷准教授らは、抗酸化剤を用いることで死滅する細胞を減らし、また光透過性の高い光学レンズと高感度なデジタルカメラを用いるな ど、多くの改良を行い、「大規模スパインイメージング法」を開発。その結果、多数のシナプスから一斉にカルシウム活動を計測することができるようになった という次第だ。

この手法をもとに、まずステップ1として海馬のスライス培養標本のニューロン内にカルシウム蛍光指示薬を注入し(画像3)、多くのスパインからの蛍光変化を高感度CCDカメラにより同時に記録することで、「どのスパインが、いつ、どんな入力を受けたのか」を調べた。

従来は数個のスパインを観察するのが限界だったが、「大規模スパインイメージング法」により、同時に数百個ものスパインからシナプス活動を計測することが できるようになった。これは過去の記録を2桁更新するもので、これにより、広い範囲のシナプス活動を、時間を追って観察することができるようになったとい う。

シナプス活動を観察したところ、近傍のスパインがしばしば同時に活動していることが判明。統計解析を行った結果、8μm以内の近接スパインが有意に同期活動しやすいことが見出された。この現象は、世界で初めて確認されたものであるという。

この空間的に集まった同期活動を「クラスター入力」と呼ぶが、同入力は、海馬スライス培養標本のみならず、生体内の大脳皮質でも確認できたことから、海馬だけの特殊な現象ではなく、脳部位を超えて広く観察される現象であるという考えである。

なお、クラスター入力を生むためには、神経回路はシナプスレベルで正確に編まれている必要がある(画像2・左)。観察の結果、クラスター入力を受けるスパインは、そうでないスパインに比べて大きいことが確認された。

スパインの大きさは、LTP(シナプス可塑性の一種で記憶の素過程と考えられている)を経験したかどうかに関連するほか、シナプス結合の強さとも相関していることが確認され、このことからクラスター入力はLTPの結果として生じていることが示唆された次第である。

実際、海馬シナプス培養標本を「NMDA受容体」(LTP形成に関与する分子)の阻害薬で処置して培養したところ、クラスター入力は観察されなかったとの ことで、これらの結果から、クラスター入力は、NMDA受容体を介したシナプス回路の編成の結果、生じることがわかってきたのである。

そこで、LTPが樹状突起でどのような空間パターンで生じるかを、遺伝子改変動物を用いて解析したという。「AMPA受容体」はグルタミン酸受容体の一種 で、グルタミン酸を用いるシナプスでは最も主要な受容体で、この受容体の数がシナプス結合の強さを決定し、学習によって増減する。また、LTPに伴ってス パインに運ばれることも知られている。

さらに、AMPA受容体とGFPが結合した遺伝子に、任意のタイミングで発現させることができる工夫を加えた遺伝子をマウスに導入して実験を行った。同マ ウスを、先の遺伝子を発現させないまま育て、ある時、育った環境と異なる新しい環境へ置き、500秒間自由に探索させる。すると新しい環境下において、マ ウスはさまざまな学習をする必要があるため脳内でLTPが発生。この実験の直前に先の遺伝子を発現させておくことで、この学習の結果起こったLTPだけを 観察することが可能となる仕組みで、その実験結果(画像4)を解析したところ、互いに近いところにあるスパイン群でLTPが生じていたことが判明したとい う。

これはLTPが隣接したシナプスで生じやすいことを世界で初めて示したものだとのことで、今回の実験結果を、これまでの回路発達に関する知見も踏まえて考 察すると、クラスター入力は3つのステップによって成立していると推定されるとの結論に至ったという(画像5)。すなわち、(1)まずはランダムに回路が 作られる、(2)シナプスの要・不要が判定される、(3)不要なシナプスが削り取られるという順次過程だ。

今回発見された局所的なLTPは、ステップ2に貢献すると考えられている。その後、ステップ3の淘汰過程を経ることで、クラスター入力を生み出す回路が選択的に残るものと考えられる結論となった。

今回の研究で、同期した神経入力が互いに近傍にあるシナプスに収束することが示されたことから、脳内の情報の流れが驚くほど正確に制御されていることを示 すことが判明。図2の仮説1が正しいことが支持され、数十年に及んだ神経科学界の重要な議論に1つのめどがついたといえる。

クラスター入力は、樹状突起上での非線形的な加算を促すため、「個々のニューロンが持つ演算能力を高める」ことに役立つと考えられるという。この演算能力 が可塑性によって生じることから、クラスター入力は記憶・学習能に関わる基本的な生理メカニズムであると思われる。池谷准教授は、今後、認知症や統合失調 症、うつ病など、記憶の変調を伴う疾患において、クラスター入力がどう変化しているかを観察していくという新たなアプローチが、精神神経疾患の病態に有益 な解釈をもたらすと期待されるとコメントしている。

[マイナビニュース]
 ピーナツの渋皮にアルツハイマー病の進行抑制が期待されるポリフェノール成分が豊富に含まれていることが、古川昭栄・岐阜薬科大学教授(神経科学)らの グループの研究でわかった。マウスを使った実験で有効性が確認されており、研究成果を26日に岐阜市内のホテルで開かれる同大の研究講演会で発表する。

 研究を行ったのは古川教授と特殊高機能性化学品メーカー「岐阜セラツク製造所」の森大輔主任研究員ら4人。アルツハイマー病は、脳内に神経細胞の機能低下を引き起こすアミロイドベータたんぱく質が蓄積されるのが原因とされている。

 古川教授らはアルツハイマー病の治療方法を研究する中で、老化やストレスなどで脳の機能を正常に保つのに必要なたんぱく質(神経栄養因子)の機能が低下したり産出量が減ったりして、記憶力が衰えることに注目。神経栄養因子の機能を高める効果のある植物成分を探した。

 野菜や果物など60種類の成分を調べたところ、中国で不老長寿の豆と呼ばれるピーナツの渋皮に含まれるポリフェノールに神経栄養因子と類似の働きがある ことを確認。アミロイドベータたんぱく質をマウスの脳に投与してアルツハイマー病の状態を引き起こし、渋皮から抽出したポリフェノールを食べさせると、食 べさせないマウスよりも記憶力が高く保たれることが判明した。

 ただ、なぜピーナツの渋皮のポリフェノールだけに神経栄養因子とよく似た働きがあるのかは分かっていないという。古川教授は「神経細胞が活性化するメカニズムを解明するのが今後の課題。予防薬として活用できるように努力したい」と話している。(大隅清司)

引用元:読売新聞(ヨミドクター)


コメント: 脳が萎縮するアルツハイマー病は、神経の伝達に必要な「APP」というたんぱく質が脳内の神経細胞の末端部にたまって変異し、蓄積されてしまうことが原因だと考えられている。
働くうえでもっとも能力が高まるのって何歳ごろ なんだろう? 職種によって異なるとはいえ、人間の能力は大別すれば「身体能力」か「知的能力」のはず。そこでサンプルとして、両者の象徴的な職業におけ るトップ集団の全盛期を探ってみた!

まずは肉体エリートの代表として、今年度のプロ野球12球団の開幕スタメンの年齢を調べてみると、平均は29.9歳。より運動量の多いサッカーJ1の開幕スタメン平均は26.7歳。競技特性の違いもあるが、20代半ば~後半が身体能力のピークというのはイメージ通りかも。

それに対して、頭脳エリートの全盛期はいつ頃か。プロ棋士のデータを見てみると、囲碁の日本七大タイトル保持者の平均年齢は意外と若く32.2歳。将棋の七大タイトル保持者は、やや上の39.3歳だった。肉体に依存しない知的能力は30代がピークということ?

「人間の知能構造は、記憶力や瞬間的な計算力、運動能力などを左右する『流動性知能』と、マネジメント能力に相当する『統括性知能』、知識や経験に相当す る『結晶性知能』の3種類によって成り立っています。流動性知能は18~25歳をピークに衰えていきますが、統括性知性と結晶性知能は年齢を重ねるほどに 伸びていき、50代でピークを迎えるんです」と教えてくれたのは、脳神経科学を専門とする諏訪東京理科大学の篠原菊紀教授。

「立場によっても異なりますが、マネジメント的な役割が求められるビジネスマンなら、必要なのは頭の回転の速さより、深い経験と洞察に基づいた思考力や判断力です。ビジネスマンの脳(能)力の全盛期は50代といえるでしょうね」

ルールが複雑な現実社会のビジネスでは"年の功"が勝る領域が大きいということかも。将来の全盛期に力を発揮すべく、多くの経験を積んでおきたいものだ。
(呉 琢磨)

引用元:R25

 ちなみに、そうした脳力を伸ばす上で重要なことは、高齢になっても勉学や趣味に励むとか、社会関係(性関係を含む)を豊かにし続けるといった、「さもあ りなん」といった努力・営為だけではない。こうしたことが必要なことは言を俟たないが、実は、もっと簡単な方法がある。「エアロビクス」、つまり、有酸素 運動である。ウォーキングなどに代表される「適度な有酸素運動」が老いた脳の認知能力(とくに前頭連合野の脳力!)を高めることが実証され、例の Nature誌に掲載された。
神戸神奈川アイクリニックのレーシックで視力回復